『会社のため・家族のために頑張ってきたのに…』早期退職した大手企業社員に待ち受ける『居場所がない問題』とは?

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 こんにちは
悩みすっきりカウンセラーの山本記大です。

 7/12から正式に愛知県では『まん延防止等重点措置』が解除されて、かつてのような通常営業に
戻そうとする飲食店が増えています。協力金をもらうことでお店の存続を図ることは大事なことです。
しかしお店が存続できるのは、常連客(新規のお客さんも含む)がお店に通ってくれるから売り上げが
上がって月々の支払いや従業員の雇用・自分たちの雇用を守ることができています。
この事実は忘れてはいけません。今度は一度遠のいたお客さんを呼び戻す戦略を取る必要がありますね。

今日は、『まん延防止等重点措置』などの措置をするきっかけになった
新型コロナウイルスが呼び水になって、ますます社会の中で加速している『ある問題』
について切り込んでいきます。


会社のため・家族のために頑張ってきた大手企業社員に待ち受ける問題とは?その1

 まず1つ目に考えられる、会社のため・家族のために一生懸命働いてきた大手企業社員が待ち受ける問題は
『早期希望退職をするかどうか?の問題』があります。この問題は日本政府が『働き方改革』と題して社員1人1人のライフプランが多様化していることを反映して副業解禁・1ヶ月間の残業時間規制など奨励してきました。

本質は、
①企業の国際競争力を高めるために会社の利益に貢献できる社員のみを選別する戦略
②コンプライアンス(法令遵守)に過敏になっている昨今、企業の法的責任をできるだけ回避させる戦略
③終身雇用を維持できる状態ではなくなっているために、主に50代社員を体裁よく会社を辞めてもらうこと 
 で長期的に人件費削減を図る戦略

が挙げられます。
要するに、
『これからは終身雇用も約束できないです。年金社会保障も約束できないです。会社としても、政府としても、あなたの人生の最後まで面倒をみることができません。自分のライフスタイルは自分で何とかしてください。』
という意味です。それが新型コロナウイルスが世界的に流行したことで、軒並み大手企業の業績が悪化して早期希望退職の動きが加速したのです。

実際に~東京商工リサーチ 2021年上場企業『早期・希望退職』実施状況~によると、
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210604_02.html
2021年の上場企業の早期・希望退職者募集人数が6月3日、10,225人に達し、2019年から3年連続で募集人数が10,000人を超えました。

政府や大手企業の見え隠れしていた本音が露わになったとき、今まで会社のため・家族のために必死に
働いてきた大手企業社員にとっては『今までの努力は何だったのか?』と言いたくもなります。
彼らは、『会社のため・家族のため』に、度重なる転勤・単身赴任・長期出張・長時間労働も耐え忍んで
従事してきた人ばかりです。



『会社のために働いていれば、生活を守ってもらえる』
『会社のために働いていれば、退職後の年金生活も何とかやっていける』
『会社のために働いていれば、子供の学費から家のローンまで払うことができる』

こうした希望が打ち砕かれるかも知れないのです。
いや、既に希望を打ち砕かれて四苦八苦している社員もいるでしょう。
経済的問題の他に、深刻な問題がまだ隠されています。次に挙げる問題は経済的問題に隠れてほとんど注目されていない問題です。

 

会社のため・家族のために頑張ってきた大手企業社員に待ち受ける問題とは?その2

 2つ目の問題は、仮に先を見据えて転職や起業の準備をした上で大手企業会社を早期退職したとしても、
付きまとう『居場所がない』問題です。
新型コロナウイルスによって、直面したのかも知れません。相次ぐ外出自粛要請で外出したり、
人と会うことが忌避される社会風潮の中で、
『外出はできない』
『とりわけて親しい友人もいなくて連絡する人がいない』
『趣味もないので、いたずらに時間が過ぎ去ることを待つのみ』を経験したことはないでしょうか?

そのような経験をしたことのある彼らを責めるのは簡単です。ただ責める行為は酷なのかもしれません。
彼らは真面目に転勤・単身赴任・長期出張・長時間労働も耐え忍んで従事してきた人が多いです。
自分の生活もありますが、1番は『会社のため・養う家族のため』に会社の辞令を受け入れて懸命に従事
してきました。忙しい日々の中で今後のライフプラン、趣味娯楽、イベント交流など考えられなかったの
だと思います。



もちろん中には、忙しく仕事に携わる中で空いた時間を使って趣味娯楽を楽しむ人はいます。
ゴルフ・フィットネス・料理教室・魚釣り・旅行・ツーリングを始め、キリがないです。

多くは、真面目に会社一筋で『会社のために働いていれば…』という希望を抱いて従事してきました。
『別に家庭があるからいいじゃないか』と思う人がいます。そうはいかないのです。このタイプに多いのが長い間単身赴任や長期出張で家を空けていて、奥さんや子供とのコミュニケーションを取る時間が十分に
取れていないのです。そうなると、家にも居場所がないのです。

一方で、奥さんは子供が学校に行くようになって空いた時間を活かして仲のいいお母さん同士のつながりのなかで居場所を作ってランチやお茶をしたり、個人的に趣味娯楽の時間を持っている人がいます。
子どもはスマートフォンを自由自在に使いこなして楽しみ方をそれぞれ知っています。
そうなると、真面目に会社一筋で働き続けてきたお父さんだけが孤立してしまうのです。

ここで分かるように、たとえ会社を退職したとしても、今度は自分の『居場所』問題に向き合わないと
いけないのです。

どれだけお金を持っていても『居場所がない』問題だけはどうにもならない

僕の個別相談・コミュニケーション研修のお客さんに日本を代表する自動車部品メーカーに勤める50代社員(井藤さん・仮名)がいました。この方は、関連会社を出向した末に本社勤務へと返り咲いた方でした。
4年ほど前、共通の友人が主催する日曜日の料理教室で井藤さんとお会いしたことがきっかけでした。

彼は仕事以外の時間を作ったことが初めてだと言いました。
『ずっと仕事一本でやってきてね。一生懸命働いてきたけれども子供が大学に通うようになって、あと数年で子供も社会人になるのかと思ったときに、自分には居場所がないことに気づいたよ。
妻は妻でちゃんと自分の楽しみと楽しむ居場所を持っていて俺はどこにも居場所なんかなかったよ。』と。

それから半年くらいしてから、僕の仕事内容に興味を持ってもらえて
僕は井藤さん(仮名)のために、残りの人生をどのように生きたいか?の幸せになる答えを出すお手伝いができます』と伝えました。
それから約1年弱、僕と関わることで『残りの人生をどう生きたいのか?』
という『残りの人生、何をもって幸せとするか?の答えを出すこと』に成功しました。新しい趣味として
カラオケ・スーパー銭湯・魚釣りと楽しむことのできる居場所を自分で開拓していました。

大手企業だからこそ、今は外出自粛の忌避する傾向は他の会社以上に顕著ですが、それでも時期を見計らってカラオケや魚釣りにも行きたいと言っていました。
将来を見据えて奥さんにも協力してもらって資産形成を進めているとも言っていました。

仕事以外で居場所がない人は認知症リスクも高まる

『こんな話は俺には関係ない』
『今の俺には考えられない』
『あんたに言われたくない』
という大手企業社員もいるのではないでしょうか?
確かに、仕事が忙しく会社のため・家族の生活のために実直に働いている方にとっては関係ないと思いたくなるでしょう。
働くことが楽しいという方は、転職してでも働いた方がいいかも知れません。
しかし、会社勤めしている人は誰もが『退職』『引退』の時期を迎えることになります。
それが具体的にどの時期にやってきて決心するか?に個人差があるだけです。

現在の50代より下の世代は、終身雇用が続くことに希望を持っていない人が増えています。
ましてや20代に至っては終身雇用なんか信用していません。『ワークライフバランス』『働き方改革』『過労死・過労自殺』などの話題にも敏感です。
それだけではなく、SNSを自由自在に操り私生活でも友人・知人を作ったりして会社以外の居場所を持っている場合が多いです。

あまり言いたくはないですが、
会社内外での人脈を誇って豪語する方もいらっしゃるでしょうが、多くは会社内や取引上のしがらみ・利害関係があるからこそ関わっていることがほとんどです。『寄らば大樹の樹』などと言います。
ましてやあなたが大手企業で相応の役職を担っていると聞けばより顕著になります。
これが実際の本音だと思います。
そのような利害関係・しがらみを差し引きした上で、本当に私生活でも大手企業などの看板なしで一個人として関わってくれる方がいったい何人ほど頭の中に浮かびますか?

さらには退職したあと、私生活の楽しみがない人は、脳にも刺激がありません。
私生活の楽しみや趣味娯楽を楽しむための居場所があるからこそ、退職しても健康でいられるのです。
趣味娯楽のない人は認知症の発症リスクが高まるとの研究論文があります。

最後に質問です。
『あなたは残りの人生どう生きたいですか?』
『何をもって幸せとしますか?』